不動産を売却するときには所得税や住民税がかかるケースがあります。
今回不動産売却時にかかる住民税の計算の仕方や計算例についてまとめてみました。
【課税譲渡所得金額】
基本的に住民税の計算方法は「課税譲渡所得金額」に応じて決まってきます。
この「課税譲渡所得金額」に関しては以下の計算方法で算出されます。
課税譲渡所得金額 = 「譲渡価額」 - 「取得費」 - 「譲渡費用」 - 「特別控除」
この「譲渡価額」は簡単に言うと不動産の売却費のことを指します。
また「取得費」は土地建物などを購入した時にかかった費用のことです。
「譲渡費用」は売却時にかかった費用で不動産仲介手数料などが該当します。
「特別控除」に関しては個人が住居用財産を売却した場合、課税譲渡所得金額からの3000万円分の特別控除が受けられます。
以上の内容を踏まえたうえで税額の計算式としては以下のようになります。
税額 = 課税譲渡所得金額 × 税率
ここで注意していただきたいのが「課税譲渡所得金額」は不動産などの「売却『額』」ではなく「売却『益』」がもとになっているため「課税譲渡所得金額」はマイナスになることもある点です。
ただし万が一マイナスになった場合には税金は基本的に発生しません。
【税率】
そこで税率がどれくらいかという点についてですが、この場合の税率は所有期間が5年以上と5年未満で変わってきます。
①短期譲渡所得(5年未満)の場合
住民税9%、所得税30%
②長期譲渡所得(5年以上)の場合
住民税5%、所得税15%
【住民税の計算例】
ここである架空不動産について住民税額を計算してみたいと思います。
購入時期・・・平成27年4月
当時の土地建物の購入金額・・・9000万円
建物の減価償却額・・・800万円
売却時期・・・平成30年4月
売却額・・・1億5000万円
譲渡費用・・・500万円
特別控除額・・・3000万円
課税譲渡所得金額の計算は
課税譲渡所得金額 =(売却額) - {(購入金額)-(減価償却額)} - (譲渡費用) - (特別控除)
となり、この式に具体的な数字を入れていくと
課税譲渡所得金額 = 1億5000万円 - {9000万円 - 800万円} - 500万円 - 3000万円 = 3300万円
またこの場合、所有期間が5年未満なので住民税率が9%かかります。
ですので税額は
3300万円(課税譲渡所得金額) × 9%(税率) = 297万円
住民税額は297万円ということになります。
【まとめ】
不動産売却時にかかる住民税は計算式の特徴上基本的に3000万円以上の売却益が出ないと発生しないことがお分かりいただけたと思います。
また今回は割愛しましたが所有期間が10年を超える居住用財産を売却した場合、今回紹介した税率より低い税率がかかります。不動産売却で売却益を得ようとしている方は今回の記事をぜひ参考にしてください。