不動産売却で分離課税の利用方法

不動産売却の基礎

【はじめに】
「税については、会社勤めの時には経理に頼りすぎてしまってよくわからない」「何にしろ複雑過ぎてよく分からない」と悩んでませんか?
今回取り上げる分離課税も、複雑で何と何を分離するのか分からないことも多いでしょう。知るべきことをまとめてみたいと思います。

【総合課税方式と分離課税方式とは?】

所得税の計算方法は2つの種類があり、一つは「総合課税方式」もう一つは「分離課税方式」といいます。

・総合課税方式
所得税の計算は原則総合課税方式であり、各所得金額の合算額に累進税率をかけて税額を出します。計算式は以下です。
所得税額 = 課税標準 × 税率

・分離課税方式
分離課税の例とは主として次のものがあげられます。
・退職所得:退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有するもの
・山林所得:山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡するもの
・譲渡所得のうち土地・建物等及び株式等の譲渡するもの

上記のように不動産売却で得た所得など、一時的に利益を得たものは譲渡所得になります。これらは基本的に分離課税方式で計算されることになるのです。
こういった譲渡所得は「金額が大きいかつ一時的なもの」であることが多いので、急に高い税率が適用されないための制度として分離課税方式が導入されているのです。

【不動産売却には申告が必要】

分離課税には申告を必要とする申告分離課税と、利子所得のように受け取った時点で引かれて課税されている源泉分離課税があります。
不動産売却による譲渡所得は申告分離課税ですので確定申告も必要としています。不動産売却による譲渡所得の計算は譲渡するまでの期間や使用用途によって異なり、譲渡するまでの期間が5年以下であれば短期譲渡所得、5年以上であれば長期譲渡所得に分かれ、一定の条件に妥当するものがあれば税率が減ることもあるので事前によく調べておいた方が良いでしょう。

【不動産売却で赤字の損益通算】

不動産売却は皆さんが利益を出したいと考えるのは普通ですが、もし色んな理由で赤字が出たとしても利益と損失を相殺する事が出来る損益通算も利用可能になります。損益通算は赤字所得を他の黒字の所得から控除する事も可能になります。控除しきれなかった赤字は、翌年以降3年間繰り越して所得から控除できる事が可能です。損益通算は不動産売却で使わないと損になることがたくさんあるのでぜひ利用しましょう。

【最後に】

分離課税の処理には経費をどの部門にするかを見極めて処理をすることが大事です。損をしないためには経費が分離課税と総合課税を見極めて経費計上するべきです。経費計上が適切に行われていると損益通算で赤字があっても節税に利用できます。税の税率や計算方法を把握して賢明な節税をしましょう。