不動産売却で年金支給額は減るのか?

不動産売却の基礎

【はじめに】
年金の仕組みについては、なんだか複雑でよくわからない部分がありますよね?
その中で、老齢年金受給者に対して「不動産売却をしたら年金が減ってしまう」という噂があったりしますが、原則として不動産売却によって年金が減額されることはありません。しかし、ある年金については、減額される可能性があります。
そこでこちらでは、年金についてのご紹介と、不動産売却との関係についてご案内いたします。

【年金について知ろう】

本題に入る前に、年金につて理解して知っておきましょう。
年金には、大きく分けて「厚生年金」と「国民年金」があります。
厚生年金は、サラリーマンなど会社勤めをしている人が入る年金で、会社単位で加入します。また国民年金は、サラリーマン以外の個人事業主などが入る年金で、世帯単位で加入します。
※厳密にいうと、日本国籍を持つ20歳から60歳までの人が国民年金に加入する義務があるので、厚生年金に加入している人は、国民年金にも加入していることになります。

この2つの年金は、受給要件を満たすと、老後に年金が支給されます。
老後に受け取れる年金の名称は、厚生年金が老齢厚生年金に、国民年金が老齢基礎年金に変わります。
先に述べましたが、厚生年金に加入している人は国民年金にも加入しているので、65歳以上になると、老齢厚生年金と老齢基礎年金の両方を受給できます。また、国民年金のみ加入している人は、65歳以上になると老齢基礎年金のみ受給することになります。

【在職者老齢年金とその他の年金】

60歳を超えても現役で働いていて、厚生年金にも加入している人で、厚生年金の支給を受ける場合もあります。これを在職老齢年金といいます。

その他の年金として「障害基礎年金」と「遺族年金」があります。
障害基礎年金は、疾病や事故などで障害認定を受けた人に支給されます。また、遺族年金は被保険者が死亡した場合に支給されるものです。

【不動産売却によって減額されない年金とは?】

不動産を売却した場合、譲渡所得というものが発生します。
譲渡所得は課税所得区分の一つですが、所有の不動産を売却したことで得た譲渡所得によって、老齢年金の受給者の年金額が減額されることはありません。

【不動産売却によって減額される可能性のある年金】

これまでは、不動産売却によって減額されない年金についてご紹介しましたが残念ながら減額される可能性のある年金もあります。
それは障害基礎年金です。
障害基礎年金は、20歳前後の初診で障害認定を受けた場合、20歳から支給される年金です。これに関しては、不動産売却など収入によって年金が停止もしくは減額になる可能性がありますが、65歳以上に支給される老齢年金については、停止や減額されることはありませんのでご安心ください。

【まとめ】

不動産を売却した場合65歳以上に支給される「老齢年金」「老齢厚生年金」、また、60歳時点で受給を受けている「在職者老齢年金」は、年金の減額もしくは停止にはなりません。
ただし、20歳以降に支給されている「障害基礎年金」については、不動産売却を含む収入に応じて、減額もしくは停止される可能性がありますが、65歳以上から支給される老齢年金に関しては、減額もしくは停止にはなりませんのでご安心ください。