不動産を相続した場合にかかる税金の基礎知識

税金や相続のこと

はじめに

不動産を所有している人が亡くなり、誰がその不動産を相続するか決まれば、必要書類を添えて法務局へ出向き名義変更の登記(相続登記)を行います。
この登記は義務ではないので、そのままにしておいても罰則などはありません。
ただし、その場合には当該不動産の売却やその不動産を担保にして融資を受けることなどができませんので、行っておいたほうがよいでしょう。
それに加えて不動産などの遺産を相続した場合、相続税を納めなければならないこともあります。
今回は、不動産を相続した場合にかかってくる税金について考えてみることにしましょう。

相続税

遺産を相続すると、直ちに相続税の納税義務が発生するわけではありません。
相続税が課せられるのは、亡くなった人が残した遺産の総額が「基礎控除」となる額を超えた部分に関してです。
相続税の基礎控除は、「3000万円」に「相続人の数に600万円を掛けたもの」を足した金額となっています。それを超えた金額に対して相続税が課せられるのです。
例えば遺産の総額が8000万円の場合、相続人が2人なら4200万円が控除となり残りの3800万円について相続税(税率は遺産の額によって異なります)が課せられることになります。

なお、遺産の総額を計算するとき、その遺産の中に土地や建物などの不動産が含まれる場合には、次のような方法で相続税評価額を求め、それをもとに遺産額を決めることになります。

土地のケース

土地の評価額を決める方法には、「路線価式」と「倍率式」があり、所在地によってどちらを使用するかが決まっています。

「路線価式」では、国税庁が1平米当たりの単価(路線価)を定めています。
それに相続税法の定める補正率と面積を掛けて、評価額を求めることになります。
なお、各地の路線価は国税庁のHPで公表されており、年に一度更新されることになっています。
また、「倍率式」では固定資産税評価額に所定の倍率(国税庁のHPで公表されています)を掛けて評価額を求めます。

建物のケース

建物の場合は、一般的に固定資産税評価額がそのまま相続税の評価額になります。
ただし、その建物を賃貸物件として有償で貸している場合には、固定資産税評価額に0.7を掛けたものが相続税の評価額となります。

相続した土地を売却する場合

最後に相続した土地を売却する場合の税金についても見ておくことにしましょう。
計算としては「その不動産を売った額」から「その不動産を売るときにかかった費用(仲介手数料など)」「亡くなった人がその不動産を買った額」「亡くなった人がその不動産を買うときにかかった費用」の3つ(に加えて、当てはまる場合には控除額も)を引き、その額がプラス(もうけが発生)となった場合、その「もうけ」の部分に税金が課せられることになります。
なお、税率はどれくらいの期間、その不動産を所有していたかで変わり、5年を超えるケースでは20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)、5年以内のケースでは39.63%(所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%)となっています。