はじめに
「査定」という言葉を聞くと、何を想像しますか?
中古自動車の下取りでしょうか?
それともDVDや本の買取でしょうか?
あるいは家具や家電などのリサイクルショップでしょうか?
もちろん、不動産物件の査定を思いつく人もいるでしょう。
実は、この「不動産査定」は他のものを買い取ってもらうときの査定とは少し違っています。
以下で詳しく見ていくことにしましょう。
不動産会社の査定とは
不動産の査定と、他のものを買い取ってもらうときの査定はどこが違うのでしょうか?
一番の違いは、買い取るかどうか、ということです。
自動車にしてもDVDや本にしても、査定をする側がその「もの」を買い取ることを前提に査定をしますよね。
そして査定の結果、両者(売りたい側と査定をした業者側)が同意すれば、業者側はその「もの」を査定した値段で買い取って(売買契約を締結して)、それを商品として売るということになります。
しかし不動産の場合、査定をした価格で同意すればその土地なり建物なりを不動産会社が買い取るというわけではありません。
査定価格に同意が得られれば、その物件に関して「仲介」の契約を取り交わします。
その後、不動産会社は広告などの方法を使って当該の不動産を売りに出し、買主が現れて無事に売買契約締結まで至ると「仲介手数料」を得ることになるわけです。
ここが不動産査定と他の商品の査定との根本的な違いです。
査定の方法
では、不動産会社はどのような基準をもとに査定を行っているのでしょうか?
基準を出す方法としては以下の3つがあります。
取引事例比較法
この方法では、査定対象と条件がよく似た不動産の過去の取引を比較対象とします。
そして比較対象に選んだ不動産について、坪当たりの取引単価を計算し、そこから査定対象の基準価格を算出するもので、土地のみの場合やマンションの査定によく用いられます。
原価法
この方法では、査定対象の不動産を更地として考え、そこにもう一度同じ建物を作った場合にどれくらいの金額が必要かをまず計算します。
そして、その金額から査定対象の老朽化に伴う部分を差し引いたものを基準価格とする方法で、戸建て物件のうち建物の部分のみを査定する場合によく用いられます。
収益還元法
この方法は、査定対象の不動産がこの先どれくらいの収益を生み出してくれるのかを計算し、そこから基準価格を求めるもので、不動産投資用物件を査定する場合によく用いられる方法です。
なお、この方法にはディスカウントキャッシュフロー法と呼ばれるものと直接還元法と呼ばれるものの2種類があります。
最後に
査定の基準となる価格を3つ紹介しましたが、どれを使うにしても、これらの方法で産出された基準価格がそのまま実際の査定価格となることは一般的にはありません。
これらの価格はあくまでも「基準」であるため、ここからその不動産会社独自の計算や経験からくる「読み」などが加減されて実際の査定価格が出されることになります。