他人に不動産売却をしてほしい場合は「委任」して頼むことになります。しかし、たとえば自分が思っていたより値下げして代理人が売ってしまうとトラブルの元となります。それを回避するため、第三者が本人に代わり手続きするには「委任状」を用意します。
ここではその際の注意する点などを中心に説明したいと思います。
【委任を任せるのはどういう場合?】
・本人が何らかの理由で手続きが困難な場合
不動産の所有者が海外にいる、病気などで入院・療養しているため手続きが困難である場合。
・不動産を所有する親が子に売ることを許可した場合。
本人以外の人が本人のために意思表示を行うことにより、その意思表示の効果は直接本人に帰属することになります。この場合、不動産売買を依頼した(委任された)本人のために意思表示をする人が「代理人」となります。
【トラブルを避けるのに重要な委任状】
実は委任というものは民法上では不要式契約と言い、契約の方式に特に縛りはなく書面の交付の義務はありません。しかし実際にはトラブルにならないために通常、委任状を交付します。
これは、代理人が悪意を持って委任した本人の希望ではない契約を交わすのを防ぐ意味合いもありますが、不動産売却には大きな金額が動くため代理人のミスによって大きな損害を与えないようにする、という意味もあります。
代理は判断も他者にゆだねることであるため基本的には、親族または相当親しい間柄に代理権を付与することがほとんどです。
【委任状を作成するときのポイント】
委任状は特に決まった形式はなく、委任する本人が作成します。その際のポイントがいくつかあります。
・売り主の署名と印鑑
契約の際には委任状に必要事項を記載し、売り主(委任者)の印鑑証明書(3か月以内のもの)と住民票を添付しましょう。
・代理人の住所と氏名を明記する
委任状には代理人の住所・氏名の明記が必要です。そして運転免許証・パスポート・住基カード・健康保険証など代理人本人を証明する書類も用意する必要があります。
不動産会社に仲介してもらっている際も、委任状を作成するときは登記事項証明書・印鑑証明書などによって本人確認をしなくてはいけません。
・委任状の記載要領
売買金額・引き渡し日など、売買の契約をする上で必要な部分を明確化して付与する権限を絞ります。
【まとめ】
ポイントを抑えて委任状は作成すれば、リスクはできるだけ回避できます。不動産売却には大きな金額が動きますので、しっかりとその内容を把握して代理人にまかせたいものですね。