独身者の遺産相続の問題点

税金や相続のこと

【はじめに】
戦前・戦後は、働いて結婚して家庭を持つ人が圧倒的な多数派でしたが、現代は多様な生き方が尊重されるようになっています。働いていてもすぐに結婚しない人や、生涯独身のままでいる人、離婚して一人になった人もそれほど珍しくなくなってきています。
また、最近では「お一人様」という言葉もメディアで取り上げられるようになり、一人で生きるという選択肢も今後ますます一般的になると考えられます。
お一人様には、稼いだお金や自分の時間を自由に使えるという利点もありますが、万が一病気や怪我をしてしまった場合に支えてくれる人がいないという難点もあります。
また、本人が亡くなった場合の遺産相続の問題もあります。
今回は、お一人様の遺産相続についてまとめます。

【独身者の財産の相続】

1.独身者の遺産相続の問題点
独身者の親や兄弟が生きている場合は彼らに遺産が相続されますが、そうでない場合は甥や姪に相続されることになります。
しかし、兄弟がすでに高齢の場合や、甥・姪がたくさんいる場合などは、遺産相続の手続きが難航することが考えられます。
これは、遺産を巡る骨肉の争いになるということだけではなく、そもそも法定相続人(法律で定められた相続人)に連絡が取れない可能性もありえるからです。
例えば、80代の独身のおじいさんが亡くなった場合。
おじいさんはもともと7人兄弟で、現在生きている兄弟は弟一人だけです。遺産相続手続きは、その弟が行うこととなりました。
しかし、甥・姪(弟の子供含む)を合わせると遺産相続人は16人います。おじいさんが遺言で遺産分配のことを書いていない限り、16人全員で遺産分割協議を行わなくてはなりません。
こんなにたくさんいたら、連絡を取るだけでも一苦労です。
弟が、甥・姪全員の連絡先を知っているとは限りませんし、遠くに住んでいる人や、長いこと連絡を取っていなくて現在の状況が分からない場合もあるかもしれません。
不動産を相続する場合は、相続人の代表が申請を行い「相続人全員の共有名義」とすることもできますが、不動産の管理・固定費の支払いなどの問題が出てきます。
また、共有名義だと売却する場合は全員の署名が必要となってしまいます。
弟もすでに高齢で、遺産手続きのために動き回るのが辛い状態です。
こうした理由から、独身者の遺産相続手続きはなかなか進まない場合があります。

2.遺言を残しておく
万一の時、残された兄弟や親族の手を煩わせないためにも、遺言を作成しておくことをお勧めします。
特に不動産は大きな財産で、固定費の支払い・建物の維持・管理の問題などがあるので、遺言が必須です。
遺言に法的な効力を持たせるには、定められた様式に沿って書かなければなりません。
詳しい書き方はインターネットにも載っているので、ぜひ調べてみましょう。
親族と疎遠になっているなどの理由から、親族以外の人に遺産を渡したい場合は、「遺贈」という形を取ることができます。

【最後に】

今回は、独身者が亡くなった場合の遺産相続の問題をまとめました。
現在独身で不動産投資を行っている方、これから始めようと考えている方は、もしもの時のために遺産分配について考え、親族と話し合っておいた方が良いかもしれません。