相続には一次相続と二次相続があります。両親のうちどちらかが亡くなったときの相続が一次相続、そしてその配偶者が亡くなったときの相続が二次相続にあたります。
子の立場からすると二次相続が終わったときが全ての遺産相続が終わったということになりますが、前々から検討しておかないと二次相続で思わぬ損をすることがあります。
【二次相続で損をするかは一次相続の対応から始まっている】
一次相続で配偶者が財産を相続する際、法定相続分(民法で定められた取り分)あるいは1億6000万円のどちらか大きい額まで相続税はかからないことになっています。しかしここで一次相続の際に配偶者にほとんどの財産を相続してしまうと、二次相続の発生時、子には相続税がたくさんかかってしまうことになります。
一次相続時には配偶者と子の両方に財産を相続させる方がよいでしょう。
つまりは、二次相続を念頭に置いて一次相続を考えることが、将来子にとって大切なことになってきます。
【一次相続で配偶者と子が相続したほうがいいものとは】
・配偶者
預貯金、今後価値が出てくるようなことのない建物(大きく築年数が過ぎたものなど)
・子
今後価値が出る、価値が上がる見込みのある土地や金融資産
また、一次相続後に残された配偶者が子に財産贈与することで、二次相続時にかかる税金を減らすことができます。
【「小規模宅地の特例」も一つの重要なカギ】
小規模宅地の特例とは
A)相続時に亡くなった人が住んでいた自宅の被相続人であり、そこに住んでいる場合(この制度を利用するためのカモフラージュを避けるため、相続人が亡くなった後10か月間住んでいることという条件がつきます)
B)相続人と別居し、3年以上持ち家に住んでいない場合
の条件を満たせば、不動産の評価額から相続税を8割引くことができることを指します。
たとえばもしその家に1億円の評価額があったとしたら、小規模宅地の特例によって2000万円での相続税になるので大変な違いがあります。
しかしAの場合、一次相続ではその特例が受けられるのは相続人の配偶者で、一緒に住んでいる子には適用されません。二次相続時には残された配偶者が相続人となるので、被相続人は子となり適用されます。
Bの場合でも、自分の持ち家ではなくても親名義、あるいは家族で経営している会社名義の家に住んでいる場合は適用外になります。平成30年4月からBに定義される人の内容が変わったのでそこも注意が必要です。
【まとめ】
両親の亡き後のことを考える一次相続、二次相続は「縁起でもない」と避ける方もいるかもしれません。けれども、相続時に残された子の兄弟間や親族間でもめ事を減らすためには両親が健在であるうちに考えておくべき問題だと言えます。